HBF 公益財団法人 放送文化基金

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平成29年度助成金贈呈式

 放送文化基金の平成29年度の助成対象が決まり2018(平成30)年3月2日、ホテルルポール麹町で助成金贈呈式が開催されました。
 はじめに末松理事長が「放送に関連する他のメディアも含めて、それぞれの役割や可能性を研究し、新たな手法や技術を生み出すことは、これからの放送文化の発展・向上にとってきわめて重要なことだと思う。助成金を有効に使って頂き、プロジェクトを着実に進めて頂きたい」と挨拶。引き続き、「技術開発」の今井秀樹審査委員長と「人文社会・文化」の黒崎政男審査委員長から今回の審査について概況報告がありました。
 平成29年度は、技術開発24件、人文社会・文化73件の合わせて97件の申請があり、審査の結果、技術開発11件、人文社会・文化34件の合わせて 45件、総額5,919万円が採択されました。助成対象に選ばれた1人1人に末松理事長から目録が手渡され、東京都市大学・香川大学共同研究 代表 市野順子さん毎日放送アナウンス部 福本晋悟さんの2人からそれぞれ、部門を代表して挨拶がありました。
 助成対象に決まったプロジェクトは、平成30年4月から平成31年3月までの1年間、研究、開発、調査、事業等を実施し、報告をまとめることになります。


今井委員長

黒崎委員長

技術開発部門 代表挨拶

ディスプレイタイプがコンテンツ視聴時の運動・認知・心理・生理に及ぼす影響
東京都市大学・香川大学共同研究 代表 市野 順子(東京都市大学メディア情報学部 教授)

 多種多様なディスプレイデバイスがネットワークに接続され、映像コンテンツを視聴する際ユーザーは状況や好みに応じてディスプレイデバイスを使い分けることができる時代になりました。その中でも、市場が急速に拡大しているヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、周囲の光を遮断して映像を視聴するという、従来のディスプレイデバイスとは大きく異なる特徴を持っています。同じコンテンツであっても、視聴するメディア(ディスプレイデバイス)が異なると、ユーザーの体験は異なるものになることが、1960年代にメディア論を展開したマーシャル・マクルーハンを始めとして、多くの研究で明らかになっています。
 私たちは、HMDという新たなディスプレイデバイスが、映像コンテンツを視聴しているユーザーにどのような影響を与えるのか  ポジティブあるいはネガティブな影響を与え得るのか、コンテンツのジャンルやインタラクティブ性が異なればその影響も異なるのか  を理解しておく必要があります。本研究は、HMDおよび全周囲スクリーンという2つのディスプレイデバイスを対象とし、これらデバイスを用いて映像コンテンツを視聴しているユーザーを、運動・認知・心理・生理の側面から比較測定し、コンテンツ視聴時のユーザー特性を総合的に解明します。
 テレビで放送コンテンツを視聴するだけの時代は終わりました。他の映像コンテンツと同様に、視聴者はさまざまなディスプレイデバイスで放送コンテンツと関わる状況が今後続くと予想されます。本研究成果は、視聴者がコンテンツに関与するインタラクティブな動画から関与しないパッシブな動画まで、これからの放送コンテンツの視聴に適したディスプレイデバイスやこれからの放送コンテンツのあり方を検討する際のガイドラインとして貢献することが期待されます。

人文社会・文化部門 代表挨拶

大津波警報発表時の初動報道におけるアナウンサーの効果的な声とは
毎日放送アナウンサー室アナウンス部 主事 福本 晋悟

 今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震では、太平洋側の広範囲に巨大津波の来襲が想定されています。津波の危険が迫っている時に放送局にできることは、速やかに開始する報道特別番組で、視聴者・聴取者に向けて避難を呼びかけることであり、その多くはアナウンサーの「声」によるものです。
 東日本大震災では、各放送局が津波からの避難を呼びかけました。しかし、地震発生から巨大津波襲来まで約30分あったにもかかわらず、避難が進まず多くの犠牲者を出しました。その後多くの放送局は、津波からの避難を呼びかけるためにアナウンサーが読み上げる「災害初動アナウンスコメント集」の文章を改良しました。具体的には、断定調や体言止めを採用し、「強い言葉」で避難を呼びかけることです。
 一方で、避難を促すためには文章の内容だけは十分ではなく、「伝え方」も重要な要素であることは言うまでもありません。東日本大震災までは、平時にニュースを読むように落ち着いてゆっくりと伝えることが、避難誘導につながると信じられてきました。しかし、東日本大震災で多くの犠牲者が出たことを踏まえ、NHKは2013年に『切迫感のある強い口調』で伝えることに方針転換しました。その後の津波警報の対応を見る限り、多くの放送局がその方針に準じているように感じます。しかしながら、どのような伝え方・話し方・発話が最も望ましいのかについて客観的な研究・検証はあまり進んでいません。
 本研究は、津波の被害が予想される地域の住民に「男性(男声)」「女性(女声)」、「速い」「普通」「遅い」、「高い」「普通」「低い」など、様々な組み合わせのアナウンサーの音声を聞いていただくアンケート調査を行い、効果的な声を明らかにします。避難につながる効果的なアナウンサーの声とは何か、アナウンサー自らの研究で示したいと考えています。

懇親会の模様


濱田理事 乾杯